黒糖づくりで大切にしている3つのこと

— 火加減・温度・時間 —

共栄社の黒糖づくりは、自然と人との対話です。 炎の揺らぎ、泡の立ち方、粘度、そのすべてが職人の“目”と“心”に映ります。 黒糖は、単なる甘味ではなく、火・温度・時間が織りなす「リズム」です。


・火加減 ― 見えない火を読む仕事

黒糖づくりのいちばんの要は、火加減です。 ただ「強い・弱い」ではなく、炎の表情と温度の上がり方、時間の流れを合わせていきます。

強く見える火でも温度が上がらないときがある。逆に、弱く見えるのに温度が一気に上がることもある。 それはその日の天候や湿度、そして原料の質によって変わるからです。

だから私たちは、ただ火を見ているのではなく、火と話をしているような感覚で黒糖を炊いています。

原料がシンプルだからこそ、ごまかしがききません。火加減を誤れば、香りも舌触りも色も、すべてが変わります。


・温度 ― 味わいを決める見えない数字

黒糖の釜の中では、温度がほんの数度変わるだけで、香ばしさと苦みのバランスが大きく変わります。

共栄社では温度計よりも、泡の大きさや粘り、香りの変化で火の状態を感じ取ります。 焦げる寸前の香り、湯気の重たさ、釜の音。職人にだけわかる“温度のサイン”です。


・時間 ― 甘さを育てる“待つ力”

黒糖づくりにおいて、時間は焦らせない師匠のような存在です。 早く炊き上げようとすれば、味が荒くなる。火を入れすぎれば、苦みが残る。

時間を味方につけるには、急がず、糖液の状態を見る。 静かに、そして確かに糖が育っていくリズムに合わせる。


・おわりに ― 火と人のあいだで生まれる甘さ

共栄社の黒糖づくりは、自然と人との対話です。 炎の揺らぎ、泡の立ち方、釜の音、そのすべてが職人の“目”と“心”に映ります。

黒糖は、単なる甘味ではなく、火・温度・時間が織りなす「生命のリズム」。 舌触り、香り、色、すべてが整ってはじめて、共栄社の黒糖となります。



今帰仁黒糖の(資)共栄社

1960年代、沖縄本島に大型製糖工場ができ、地域の小さな黒糖工場が姿を消す中、共栄社は伝統食を守るために創業しました。創業から約50年、私たちは黒糖の魅力を大切にし、加工黒糖を生産し続けています。従業員は10名の小さな会社ですが、心を込めた手作りの黒糖製品に加え、ナッツやチョコレートを用いた趣あるお菓子も手掛けています。私たちはこれからも古き良き沖縄の味を未来へと紡いでいきます。

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